糸は吉に絡まるから。

 

indigo la End  「蒼糸」

 

蒼糸、この曲が持つものをindigo la Endという音楽が好きな人は理解出来ると思う。何を理解できるのか、それを言葉にしようとすると難しいが、強いて言うなら人の琴線、それを触れる曲。そう言えば大切な曲であることが分かるのでは無いかと思う。

そんな曲に対して私なりの言葉を並べることは勿体ない、贅沢なことだと思うが、川谷絵音の「曲は世に放った瞬間、その人のものになる」

という言葉を借りて、この行為(好意)を正当化したいと思う。

 

 

 

羨むことばかり増えた
冷たい日常に
気持ちが落ち着かないよ
理論ばっか備えた
虫が鳴いてる
井の頭線に揺られて
偉くなった気がしなくもない夕暮れ時         

 

 

 

前提として、この曲は(今回の解釈においてだが、)は独りであることを背景に解釈を進めていきたい。初めの二節はひねくれた独りの人間の解釈、他者と共存して生きていく世の中に紛れていくことで、自然と比較してしまう他感に、静けさを求められず、落ち着けられない様子。理論的に対処していく中で、井の頭線に揺られて、都会の焦燥感紛れつつ、その自分が偉いのではないかとふと思う瞬間。

 

 

恋したんだったよな
想い合ったんだよな
あなた

 

 

 

そして、色んな考えが飛び交う中、誰しも経験があるようのふと思い出す瞬間、それがあの時愛し、愛された「あなた」

 

 

膨らんだストーリー
起承転結
3文字目半の糸

 

 

最終的にこの物語は、吉に糸が絡みつく、出会ったことは幸せで、間違いのない事実であったと結末を迎えるが、それに行き着く前の展開、思い返していく序章、それが「3文字目半の糸」

 

 

もらってばっか 太った恋に
擦れて減ったさよなら
その気ない弱いセリフ落っこちた
守ってあげる 救ってあげる
思ってたってどうしても
この恋には軽すぎたみたい

 

 

このサビの歌詞の解釈をする時、これを一つ一つ分けて解かしていくのは勿体ない、これはこのサビとしてあるから美しい。この美しさ、分かる?いや、分からなくてもいい、伝わらなくてもいい、それだけ溢れてしまうこの曲に対する想い。いつか、「ああすれば良かったのに」と思い返す恋をしたこと、愛したこと、あるだろうか、どこかで気づいているはずの「溢れ出す感情」。ただ、人は不器用、いや万能すぎるからこそ、技量にあった使い方が出来ない人が多いだけ、理解すればいいのに、でも、うん。

できないから、落ちてしまうセルフ、言葉。

力なく手放してしまった言葉に詰めることが出来なかった思いがあれば、その恋がどこかに行ってしまわないような、重りにできたかもしれないのに。

 

 

 

込み上げてばっか
困るな
一時停止ボタン
押して音楽を止めた

 

 

 

この前言葉にしたが、1度「愛する」という境界線を超えた行為をした人に対して、普通の人とは違う存在として扱うことは抗えないと思う。だから大切なのは、1度止めること。

 

 

途端忘れられたような
優しくされたような
気配が
長い糸を伝って私を迷わせるよ

 

 

 

甘い蜜。甘すぎる、だけど、苦味なんかより甘味を求めてしまう。それは本能的でもあるし、1種のフェロモンのようなものかもしれない。迷わす、幸せ。それを幸せと呼んでいいのか、いや幸せでは無いな、美化した「幸せ」という形ではなく、普遍的な「普通」なんだと思う。「普通」を「幸せ」と思えるからこそ、人って幸せ者だと思う。だけど、その「普通」が当たり前ではないと理解出来てなければ、それが「幸せ」だと価値を見出すような言葉にするのだと思う。

 

もらってばっか 太った恋に
擦れて減ったさよなら
その気ない弱いセリフ落っこちた
守ってあげる 救ってあげる
思ってたってどうしても
この恋には軽すぎたみたい

祈った今日と
笑った明日を
連れていった明後日
紡ぎ出す恋心首ったけ
好きって言って
抱きしめてよ
本当はそんなことばっか考えてるよ

 

 

 

「好き」特別な人に言われるこの言葉の持つ意味はとてつもない、「抱きしめて欲しい」贅沢な「ねだり」だ。人と人が触れ合うのは容易なことでは無い、それを許し合う、許して欲しい。だって「好き」って言ってくれたじゃん。と、勝手だな、でも勝手になれる、それが境界線を超えたかどうかの瀬戸際。

今日と明日と明後日にはある、けど昨日には何があったと思う?「普通」だよ。何も無い日常だよ、そこにあったのは。

 

蒼き後悔は期待が飲んで
後味だけが知る
デザートはとびっきり甘い方が良い
想いをスクラップしては
ちょっと恥ずかしくなるだけ
その工場はいつか閉鎖するつもり

 

 

この紡いだ言葉、そう、これに触れたかった、人が背けようとする、でもそうしてはならないのが「苦味」。

甘さに期待をした時に忘れてしまう「苦味」。それを期待しないからこそ、最後には、まぁデザートは期待をするが、後悔は苦味を帯びて、それを混ぜ込んだ時にやっと気づく「理性」。

閉鎖したいな、でもしたくない、いや出来ない、いやしなくていい、いやしない方がいい、それも全てありのままなのだから受け入れるべき、いや、否定をするのが勿体ない、そこに生まれてしまう美しさも正当化して生きて欲しい。これは私自身と、後悔と懸念と苦しさと、厳しさを生み出そうとする人達に対して救いの言葉として言いたい。「受け入れることも大切だと思う。否定するのは自分らしさを打ち消す行為、受け入れて、それを踏まえた中でどう生きることを選択するのか、それが苦味を取り入れていくための選択」なんだと、

 

 

大なり小なり誰もが間違う
経験とともに恋が下手になる
一番下手になった時こそ
本当に誰か好きになる
幸せか普通かわからない
普通か不幸かもわからない
でも両方あなたがいるなら
糸は吉に絡まるから

 

 

 

分からなくなるよ、でも、いつかは辿り着くんだよ。辿り着くことが想像できない?だってそれは経験したことがないからだと、分からないことが大切なんじゃなくて、分からないことを理解していることが大切なんだと思う。そしたら、漂う人の生きる1つの線が、糸のような人生の道が、「吉」という普遍的なものに結びついて、結果、分かるようになるから。

 

 

もらってばっか
太った恋に
少しずつの好きだよ
打ち明け過ぎないセリフあなたに
守ってあげる
救ってあげる
思ってたってそれだけは
この恋にはまだいいみたい

 

 

 

いつかの恋心が間違ってなかった、出会いに間違いなど無い、いつかの出会いはいつかのため、そのいつかを迎えるために人は出会う、そして、放つべき言葉はその時のためにあって、全て適している、正しい、間違いなんてない、いや、間違いにしないために生きていく。あの時にはまだ早かった。今は早くない、今のため、今があるために、

 

蒼い蒼い私に新しい色を付けてくれた
あなたが好きよ
思ってもないさよならばっかごめんね
この恋には軽すぎたみたい

 

 

 

そんな自分に出会えた、出会わせてくれた、今の自分を出会わせてくれたのは「あなた」。

いつかの「誤ち」が「正しさ」にするために生きていく、正しくなった時にただ一言、

「ごめん」

と言えなかった言葉を歌詞にするように放って、重みをました人として歩めばいい、それが「蒼糸」と言葉をなす人生だと思う。

 

 

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