indigo la End 「夜汽車は走る」
何かが降り注ぐ前には、予兆のようなものがあったりする。それが運ぶ切ない過去の記憶
夜は寂しげだ、だから起き去ったはずの記憶を連れてきてしまう。
延々と夜にひた走る気持ちは、ただただ吐き出しても吐き出してもただ漏れて、どこにも行き着く事ができずに、宙に浮かぶ。この気持ちはどの終着駅にも辿り着く事はできず、汽笛のような哀しみは夜を流れていくばかり。
行くあても無い旅先で、あの部屋のあのシーンを思い出して、窓に映る隠せない表示に目を背ける。だんだんと景色は歪んで、隠れて、涙の雨が溶け込む、煙のような思いの丈。
段々と加速する景色の中に、いつか見た淡い思い出が重なった。でもそれは見間違いで、ただの煙が作り出した都合のいい幻想。白と黒で姿をなす煙は、心の中の色褪せた思い出に重なってしまう。振り返ってよ、私の事を忘れないでよ。背けた現実に目を伏せても浮かぶあなたの事、思いが弾けるような音が鳴り響いても、それはあなたがいる合図だから、いつまで経ってもあなたから離れられない。永遠に時刻表には乗る事はないけど、いつかいつかと待つ私は馬鹿、そんな私にいつも困ってたね、ごめんね。